なっとう

我が家は両親が頑張り屋さんだったので
兄と姉と妹と弟の5人兄弟で
それはそれは賑やかな家庭でした。
朝は必ずそろって食事をするのが決まりで、
狭い部屋でギュウギュウになりながら
争っておかずを奪い合っていた。
父の好物でもあったため
毎日食卓には納豆が出ていて
それを皆で順番にご飯にかけるのだが、
人数が人数なために
自分に回ってくる頃には
もはや器には一粒も納豆が残ってないことも
よくあった。
そこで泣き言を言っても分けてくれたり
新しく出してくれるような家風ではなかったので
空になった器にご飯を盛り
「納豆かけ(風)ご飯」
にして食べた記憶がある。

特に貧しくて辛かったとか
ひもじかったとかじゃなくて、


なんだかギャーギャー騒ぎながらも
楽しい食卓だったなぁと

あまり家族のそろわなくなった食卓で
母と2人で納豆ご飯をたべながら
ぼんやりと
そんなことを思い出した夜でした。